2007年8月31日金曜日

オール電化住宅、道内10万戸突破

北海道電力は三十日、道内のオール電化住宅戸数が七月末に十万百二十六戸となり、十万戸の大台を突破したことを明らかにした。二○○六年度の新築住宅に占めるオール電化比率は前年度比13ポイント増の30・3%に達しており、本年度も30%前後を維持しているという。  一九九五年三月末に一万戸を達成して以来、次第に普及ペースを速めている。八万戸から九万戸までに八カ月間を要したが、九万戸から十万戸までは六カ月間だった。(北海道新聞 引用)

2007年8月30日木曜日

盗み疑われ暴行? 函館西署が7少年送検

【函館】函館市の公園で同市内の高校三年佐藤智也君(18)が、中学時代の同級生ら七人に暴行され死亡した事件で、函館西署は二十九日、傷害致死の疑いで、七人を送検した。これまでの調べで、事件直前に通帳が入ったバッグをなくした佐藤君が「盗まれた」などと少年らに話していたことが分かっており、同署は盗みの疑いを掛けられた少年らが佐藤君に反発し、暴行につながった可能性もあるとみている。  調べでは、佐藤君は二十六日午後、家族に「友人と出かける。午後六時半ごろ帰る」と言って外出。自宅近くの富岡中央公園で「通帳入りのカバンがない」と少年のうちの数人に話しかけ、一緒に捜した。バッグは結局、見つからず、少年らは「本当になくなったのか」と佐藤君を詰問。佐藤君が帰ろうとしたところ、少年らに引き留められ、暴行を受けたとみられる。  目撃した人の話では、佐藤君は「通帳が悪用されたら困る。警察に電話する」と言っており、盗みの疑いを掛けられた少年らは怒っている様子だったという。同署は事件直前のやりとりと、暴行との関連を調べている。  一方、道教委は二十九日、道や道警などとつくる「いじめ・不登校対策本部」の会議を緊急に開き、関係機関が地域や家庭と連携し、命の大切さを伝える取り組みを積極的に行うことを確認した。  道教委は、暴力根絶の指導を徹底するよう各教育局を通じて全公立学校に二十八日付で通知したことを説明。道学事課も二十九日付で同趣旨の文書を私立学校に出す。  函館市教委も、二十九日付で市立の小中高校に、児童、生徒の指導の徹底などを要請する通知文を送付する。(北海道新聞 引用)

2007年8月29日水曜日

路線バスと車接触、乗客3人軽傷 札幌・西区

二十八日午後五時ごろ、札幌市西区西野三の三の道道で、JR北海道バスの西28丁目駅発宮の沢駅行きの路線バス(乗客十八人)と、乗用車が接触し、バスの乗客三人が肩などを打つ軽いけがを負った。  現場は、片側二車線の直線道路。札幌西署は、停留所から発車しようとしたバスと、右の車線から左折した乗用車が接触したものとみて調べている。(北海道新聞 引用)

2007年8月27日月曜日

少年ら集団暴行か 函館の公園で高3意識不明、友人ら逮捕へ

【函館】二十六日午後十時四十分ごろ、函館市昭和町の市営昭和公園内で、同市富岡町二、函館大学付属有斗高三年佐藤智也君(18)が倒れているのを巡回中の警備員が見つけ、警備会社を通じて110番通報した。函館西署によると、佐藤君は脳内出血で意識不明の重体。同署は傷害事件とみて、佐藤君の中学時代の同級生ら、いずれも函館市内の十五歳から十八歳の少年少なくとも五人から任意で事情を聴いている。  調べに対し、複数の少年が「佐藤君を殴った」と話しており、同署は容疑が固まり次第、この少年らを傷害の疑いで逮捕する方針。  調べでは、佐藤君は公園内の休憩所近くの遊歩道にあおむけに倒れ、頭と右ひじにすり傷、唇に打撲のあとがあった。また、衣服と髪の毛がぬれていた。公園内の近くには水深数センチの人工池がある。発見現場の近くに佐藤君の自転車が止めてあり、かごには佐藤君のものとみられる眼鏡が折り畳んだ状態で入っていた。発見時、現金や財布は持っていなかった。  同署などによると、佐藤君は同日午後、家族に「友達と出かける。午後六時半ごろに帰る」と言って自転車で外出したという。  公園はJR五稜郭駅から北西へ約一・五キロの住宅地にあり、広さ六・四ヘクタール。休憩所のほかテニスコートやサッカー場、遊具があり、敷地内には二十四時間出入りできる。付近は夜間、人通りが少ないという。(北海道新聞 引用)

2007年8月26日日曜日

札幌・月寒体育館がJOC強化施設に

札幌・月寒体育館が、日本オリンピック委員会(JOC)から「JOC認定アイスホッケー競技強化センター」の施設として認定を受けた。JOCがオリンピック強化選手などのアスリートが強化活動で利用している施設を認定し、選手強化活動が円滑に行われるよう、施設活用の支援を目的としたもの。日本アイスホッケー連盟からの推薦に基づき認定された。同体育館では、来年4月にアイスホッケー世界選手権大会の一部の「2008年IIHF世界選手権大会ディビジョン1」が開催される予定。(北海道新聞 引用)

2007年8月25日土曜日

高等養護校増設を 保護者ら「進める会」 あす発足集会

障害のある子供を持つ保護者や養護学校教員らが「高等養護学校・養護学校の増設を進める会」を立ち上げ、二十五日に札幌学院大(江別)で発足集会を開く。昨春、道内の高等養護学校の入試では計三十二人の不合格者があり、障害者の教育を受ける機会の確保や希望者の全入を訴える。  道教委によると、特別支援学級(小中校)の児童生徒数は一九九七年度の三千五百六十八人から、二○○六年度は五千五百九十二人と増え、知的障害の増加が目立つ。特別支援教育を受けることへの抵抗がなくなったことが一因とみられる。  道内の高等養護学校十二校には昨年度、総定員四百八十人に五百二十四人が受験。障害が重度なほど、不合格の傾向があり、支援が必要な生徒が行き場所を失ったり、合格しても親元を離れての進学が問題化している。  道教委は来春の入学者から、高等養護学校の定員を四十八人増やす予定。しかし、養護学校に小中生二人の子供を通わせる札幌市内の主婦(45)は「定員増だけではクラスがすし詰めとなってしまう。教育次第で社会に出られるかどうか、人生も変わる」と訴える。  呼びかけ人の三田村祐二・星置養護学校教諭(高教組障害児学校部長)は「障害のある子供の学ぶ機会や場所の確保について、教育関係者だけでなく道民に理解してほしい」と、署名や道議会に誓願をしていく考えだ。 (北海道新聞 引用)

2007年8月24日金曜日

道内愛好家50人 ギネス記録更新へ ハワイの5500人フラダンスに参加

八月下旬から十月上旬に行われるハワイ州最大の祭り「アロハフェスティバル」に、札幌を中心にした道内のフラダンス愛好家約五十人が参加。ホノルル・ワイキキの白い砂浜を前に、世界各国から集まったフラガールと、「フラライン」と呼ばれるフラのラインダンスを舞う。五千五百人が並んで踊るフララインが成功すれば、ギネスブックの世界記録更新になる。  参加者は「すべてに愛を持って接する『アロハ』の心を共有する者同士、国は違っても、心を一つにして踊りたい」と練習に励んでいる。  同フェスティバルは、ハワイの伝統文化をたたえる祭りで、一九四六年から毎年実施。今回、世界最長記録を目指す「フラライン」は、祭典の最大の見せ場となるワイキキのイベント「ホオラウレア」(ハワイ語でパーティーの意味)の一環で、九月二十二日に行われる。成功すれば、参加者の名前がギネスブックに刻まれる。  道内からは、札幌や旭川、函館などでフラダンスを学ぶ二十-八十代の女性約五十人が参加。日の丸をイメージした赤または白の衣装に身を包み、ハワイへの望郷の気持ちを歌にした名曲「ワイキキ」のメロディーに合わせて、優雅な舞を披露する。  子育てや介護の合間を縫って、札幌や苫小牧でフラダンスを教えている北山久仁子さん(49)=苫小牧市在住=は「修学旅行みたいでワクワクしています。フラ一色に染まるワイキキで、世界中のフラガールと心を通わせ、記録に挑戦したい」と心待ちにしている。(北海道新聞 引用)

2007年8月22日水曜日

丸井今井釧路店、閉店1年 後継店舗めど立たず 進む北大通の空洞化

丸井今井釧路店が昨年八月に閉店してから二十日で一年が過ぎた。札幌のコンサル会社が計画する後継商業施設「キュート」はいまだに開業に至っておらず、北大通の空洞化も進む。釧路市は中心街の活性化計画策定作業を進めているが、かぎを握る中核施設の先行きが見えないとあって、中心街の将来像も不透明感を増している。  八月の平日の昼下がりの旧丸井今井釧路店周辺。シャッターを下ろした同店跡一帯は閑散としていた。人通りがほとんどなく、空き店舗も目立つ。「まるでゴーストタウン。うちも売り上げは三割減。丸井さんの後の店舗には一日も早く開店してほしい」。近くで営業する商店主はぼやいた。  しかし、旧丸井今井釧路店の後継店舗は開業見通しが立っていない。旧釧路店の土地・建物は札幌の不動産会社「ノースキャピタル」が昨年十月に買収。同社の出資者が社長を務めるコンサルタント会社「アラ」(札幌、岡田忠社長)がディスカウントや食品売り場などからなる商業施設「キュート」として開設を目指すが、中核テナント誘致が難航。昨年末を目標にしていた開業時期を何度も先送りしている。同社は「中核店舗を道内で見つけるのは難しい。本州企業にも当たっているが、施設の業態変更もありうる」と話す。  同社への協力を打ち出していた釧路商工会議所との関係も良好とは言えない。同会議所は五月以降、後継店舗探しの進ちょく状況をめぐり岡田社長に面会を求め続けているが、「連絡が取れない状況」と浜屋重夫専務理事。浜屋専務理事は「会議所としては何を協力できるか話し合いたいのだが…」と言葉を濁す。  こうした間にも北大通の空洞化は深刻さを増す一方だ。集客施設を失ったことで人の流れは激減。釧路市が昨年九月に実施した中心街の通行量調査によると、中心街の休日の通行量は五年前に比べて半減。旧丸井今井釧路店周辺に至っては十分の一に落ち込んだ。  丸井今井釧路店が閉店直後の昨年八月下旬に大型店の「KOM」(旧くしろデパート)が閉店、老舗の店舗なども相次ぎ店を閉じた。北大通の商店街関係者は「北大通をぶらっと歩く人がいなくなり、飛び込み客も減った」と証言、「個店の取り組みの限界を超えている」と訴える。  「アラができないとなれば、別の手段を考えるべきだ」。釧路市の伊東良孝市長は今月二日の会見で、キュートへの出店テナントが決まらない状況に関しテナント探しを担うアラを批判。市長がいら立つのは「中心街のまちづくりには不可欠な施設」と位置づけるキュートの今後の動向によっては中心街の活性化が大きく左右されるためだ。  市は昨年十二月には空き店舗に出店する事業者への家賃補助制度を拡充し、キュートにテナントが出店しやすいよう環境整備。今年七月からは北大通一帯の再生のため官民一体の中心街活性化計画策定に向け会議所と協議会設立準備を始めた。中核施設の開店のめどが立たねば議論に大きく影響を及ぼすのは必至だ。  ただ、市の対応については「市長の発言は人ごとのよう。中心街活性化に向けた市長の考えが見えない」(北大通のある商業者)との批判も渦巻く。キュート開業が今後も遅れることになれば、事態打開に向けて市や商工会議所にリーダーシップを求める声が高まることも予想される(北海道新聞 引用)

2007年8月21日火曜日

開発局職員逮捕--札幌中央署

女性2人に対し下半身を露出したとして、札幌中央署は20日、札幌市西区二十四軒4の2、国土交通省北海道開発局札幌開発建設部係員、村屋賢一容疑者(27)を公然わいせつ容疑で逮捕した。 調べでは、村屋容疑者は同日午前1時ごろから約5分間、同市中央区南5西11の駐車場で、停車中の車に乗った女性2人に向かって下半身を露出するなどした疑い。女性のうち1人が車内から携帯電話で110番したのに気付いて逃げたが、付近にいたところを駆け付けた署員に取り押さえられた。19日夕から自転車で女性を探していたとみられ、「なぜこんなことをしたのか分からない」と供述しているという。(毎日新聞 北海道版 引用)

2007年8月19日日曜日

国内58例目の脳死移植手術 北大で始まる

東京医大八王子医療センター(東京)で臓器移植法に基づく国内五十九例目の脳死と判定された男性から十八日午前に摘出された膵臓(すいぞう)と腎臓の同時移植手術が、同日正午から、札幌市北区の北大病院で始まった。手術終了は十九日午前零時以降となる見通し。  同法による脳死移植は国内五十八例目で、脳死患者から摘出された膵臓、腎臓の同時移植は国内三十一例目、道内二例目。膵臓と腎臓は、糖尿病の四十代男性に移植される。  脳死判定された男性からは膵臓と腎臓のほか、心臓と片肺が摘出され、東大、東北大、東京女子医科大の三病院で移植手術を実施した。  肝臓と小腸の提供遺志も示されていたが、医学的理由で断念された。(北海道新聞 引用)

2007年8月17日金曜日

係統合、グループ制検討 退職者続出、長時間残業の夕張市 今秋の導入目指す

【夕張】財政再建団体移行に伴い本年度当初、部を廃止し課や係も大幅削減したばかりの夕張市が、早くも追加の機構改革を検討していることが十六日、分かった。係を統合し「グループ制」を導入する案を今月上旬、部門長会議で検討し始めた。同市は職員のサービス残業の常態化や、相次ぐ退職など問題が噴出しており、さらなる効率化が必要なためだ。  同市は昨年度まで五部十七課三十係の体制だったが、本年度は七課二十係に削減。さらに今回、係をまとめて各課内に一、二グループずつを置く案を、課長以上が集まる部門長会議で示し意見を求めた。早ければ今秋、遅くとも来年度までに導入を目指す考えだ。  係の垣根を取り払って個々の担当業務を超えた協力を促すのに加え、係の間の残業時間の平準化も図る。退職者が出る度に係の間で人事異動を行い穴埋めする状況を解消して、担当替え程度で対応する狙いもある。  一方、同市は、財政再建計画で給与の2・5%以内に抑えられた職員の残業手当を適正に支払えるよう総務省に計画変更を要請し、認める条件として残業時間圧縮の取り組みを求められており、グループ制導入はそれを実行する方法の一つに成りうるものだ。  同市は、手当支払いを実現し、これ以上の職員の退職を抑えたい考え。道幹部も「効率的な体制確立は不可欠で、前例にとらわれず改革するのは望ましい」と歓迎する。  ただ、市内部には「みんな長時間残業している中で導入しても機能しない」との声もある。導入には市職員労組との協議も必要だが、「仕事量に応じた人員の適正配置なしでは抜本的解決にならない」との声も上がっている。(北海道新聞 引用)

2007年8月13日月曜日

知床の乗り合いタクシー 10日間 延べ59人利用 気軽さうけ、出足好調

【斜里】町ウトロ地区で今月一日から実験運行中の、知床乗り合いタクシーの出足が好調だ。十日までの利用・予約は延べ五十九人となり、一日六人ほどが利用している計算。事業を行う知床斜里町観光協会、網走開建など斜里町の関連九団体は、本格的な夏観光シーズン到来で利用者の増加を期待している。  乗り合いタクシーは、知床を訪れる観光客の自家用車やレンタカーの排ガスなどが及ぼす、野生生物や森林などへの悪影響を少しでも軽減しようと、企画された。九人乗りのワゴン車で、食用廃油によるバイオディーゼル燃料(BDF)を使っている。  タクシーは、ウトロ温泉街の各ホテル・旅館を回って客を乗せて出発。知床の十カ所の観光スポットをめぐる十八のコースでダイヤ運行している。料金はコースによって一人三百-千円(小学生以下は半額)。  中でも、《1》羅臼湖でのトレッキング《2》知床峠でのサイクリング《3》知床五湖を回った後、岩尾別温泉で入浴-などのコースが人気という。運行にあたっている社団法人・北海道開発技術センター(札幌)によると、客の反応は「自然を見ながらのサイクリングが楽しい」「バスと比べ、運転手と気軽に話せていい」「安い」など、おおむね好評という。  ただ、知床はヒグマの生息地。目撃情報があれば、急きょコース変更することもある。北海道開発技術センターは、「お客さまにはできる限り素早く情報提供して、知床を楽しんでもらえるよう努力しています」と話している。(北海道新聞 引用)

2007年8月8日水曜日

札幌市、冷房費削減実験を公開 循環水に活性剤、注目の技術 

札幌市と産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は7日、市庁舎の冷房用循環水に界面活性剤を混ぜることでポンプを動かす電力を削減する実証実験を公開した。実験結果は9月に判明する。暖房用循環水では成功しており、新たな冷暖房の省エネルギー技術として注目される。
 界面活性剤はリンスに似た成分で、循環水に加えると水の流れを整え、配管との摩擦を低減する作用がある。この日は、8度の冷水を庁舎内の配管に循環させる冷水ポンプ(37キロワット)に界面活性剤約20キロを注入した。6日から4日間の実験期間中にデータを取る。
 暖房用循環水に界面活性剤を加えた今年2月の実験では、温水ポンプを動かす電力を65%削減できた。試算では年間約63万円の経費節減で、年間約32トンの二酸化炭素の排出量削減になるという。
 同研究所エネルギー技術研究部門の武内洋・副研究部門長は「実験が成功すれば、他の建物の冷暖房にも応用できる省エネ技術として全国に普及させたい」と話した


(毎日新聞 北海道版 引用)

2007年8月6日月曜日

北見の断水 濁水被害なぜ急に

◇調査委、取水停止の遅れ批判
 集中豪雨による大規模断水や取水停止が6、7月と続いた北見市。北見工大の海老江邦雄・名誉教授を委員長とする「技術調査委員会」が4日まとめた調査報告書は、6月下旬に起きた最初の大規模断水の原因を詳細に検証し、浄水場への濁水流入を防げなかった市の対応を厳しく批判した。7月にも再度の断水に追い込まれた同市は河川のしゅんせつや調整池の設置などの対策を取っているが、そもそも、なぜ今年になって断水につながるほどの集中豪雨が繰り返されたのかはナゾを残したまま。市民の不安が払しょくされたとは言えず、抜本的な対策が望まれる。【高橋正博、三沢邦彦】
 ■異例の濁水
 報告書などによると、1時間に50ミリを超える局地的な集中豪雨が常呂川支流のオシマ川流域を直撃したのは6月22日正午過ぎ。午後3時ごろにも激しい降雨があり、畑や斜面から流れ出した土砂が、常呂川に設置された同市の取水口に流れ込んだ。
 通常の土砂は水と分離して沈殿するが、このときは集中豪雨で約600万年前の地層がはぎ取られ、沈殿しにくい微粒子が全国的にも異例の濁度を生んだという。同市の広郷浄水場では84年以降の最大濁度は2000だったが、今回は1万5133を記録。その直前まで少雨で常呂川の水量が極端に少なかったため、支流から流入した濁水を希釈できなかった。
 ■職員慌て後手
 前例のない濁度に市の職員らは慌てた。1万5000を超える濁度の連絡を受けた職員は「ピンとこなかった」「信じられなかった」と証言。すぐに取水停止の措置は取らず、浄水場に流れ込んだ濁水の土砂を沈殿させる作業を続けた。取水口から浄水場につながる導水管の土砂を取り除くため、3時間近く取水を止めたが、再開後にまた濁水が浄水場に流入。23日午前5時過ぎに取水を完全に停止したが時すでに遅く、その後、完全復旧まで4日間もかかる大規模断水に発展した。
 こうした経緯から、報告書は早い段階で取水を停止して濁水が下流に流れ去るのを待つべきだったと主張。そうしていれば、取水停止中の断水はあっても長期間の大規模断水は避けられたはずで、結果的に大量の濁水を浄水場に引き込んでしまったことを人為的ミスとみなし「自然災害と言われている節があるが、間違いだ」と批判した。
 報告書は特に(1)市が今年5月に策定した水質汚染事故対応マニュアルは沈砂池で毒物やアンモニア性窒素、油分の異常を確認した場合の取水停止措置を定めているが、濁水の対応が明記されていない(2)沈砂池に設置された濁度計が実際の3分の1程度の数値を表示する不正常な状態のまま使われていた--ことを重視。こういった態勢の不備が緊急時の冷静な判断を妨げたとしている。
 ■市民の不安消えず
 7月23日の集中豪雨でも導水管に濁水が流れ込み、再び断水。その後も2回にわたる降雨のたびに取水を停止する事態が発生した。市が取水停止の判断を早めたため、6月ほどの混乱は見られなかったが、市民からは「雨が降るたびに断水ではたまらない」と怒りの声が上がっている。
 それにしても、なぜ急に濁水被害が出るようになったのか。広郷浄水場が運転を開始した75年から30年余り、濁水による取水停止や断水に見舞われたことはなく、今年が初めてだという。畑や森林、川底、斜面が集中豪雨に削られたとみられるが、今年になって激しい濁水が発生するようになった理由は不明のままだ。
 しかし、今後も同様の集中豪雨が降ることを前提に対策を練らなければならない。報告書は緊急対策として、短時間なら取水を止めても断水せずにすむよう調整池の設置を提言。市側はすでに浄水場に、容量5500トンの貯水池を確保した。また、網走土木現業所は常呂川の5本の支流に堆積(たいせき)した土砂の除去作業を実施。網走開発建設部は大型の土のうと濁水防止フェンスを常呂川の本流に設置し、オシマ川など支流から濁水が流れ込んでも取水口に流入しにくくした。
 報告書はさらに、緊急時に適切な判断ができるようマニュアルの整備や優秀な技術者の育成を提言。このほか、常呂川流域の水質改善や取水口下流への支流出口の付け替えなどを抜本対策として挙げており、浄水場の移転も含む長期的な対策が今後、議論されそうだ。
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 ◇北見市の大規模断水経過表◇
 <6月22日>
正午ごろ~    広郷浄水場の日の出取水口付近で1時間に50ミリの局地的豪雨
午後 1時20分 河川水位の急激な上昇を確認
   3時35分 浄水場職員が沈砂池濁度計の数値上昇を確認
   6時 7分 浄水場流入前の原水濁度が上昇
   7時40分 濁度1万3263度に上昇。その後も下がらず、原水濁度の最高値は1万5133度を記録
  10時半   原水取水を停止。浄水場内の沈殿池で排泥などの洗浄作業実施
  11時    沈砂池から浄水場へつながる2本の導水管内の排泥作業開始
 <23日>
午前 1時17分 導水管の排泥作業が終了し原水取水を再開。原水濁度は3290度
   4時10分 原水濁度が390度に改善
   5時 5分 高度処理水、ろ過水の濁度が改善されず再び原水取水を停止
   7時半   復旧に向け洗浄作業まる
   8時半   広報車13台、39人体制で市民への広報活動始まる
     40分 浄水場からの供給停止。北見・端野両自治区約5万8700戸で断水
   9時35分 給水所10カ所を設置。消防車11台も出動し12病院施設に給水。給水所はその後、最大25カ所まで増設
 <24日>
午前10時    ろ過水の濁度が0.1を下回り給水を再開
 <27日>
正午ごろ     全市で給水再開
 <7月1日>
午後10時    すべての給水所が閉鎖




(毎日新聞 北海道版 引用)