札幌芸術の森に隣接する芸術関連産業団地「札幌アートヴィレッジ」(南区)を、国内外の芸術家らが滞在しながら創作活動の拠点とする動きが本格化してきた。新千歳空港に近く、札幌市立大を含めた周辺地区が持つ高い潜在能力を見込み、ギャラリーを備えたホテルの建設などがすでに決定。札幌市も同地区の活性化を検討する有識者会議を一月に立ち上げ、拠点化に向けた議論を始めた。
同ヴィレッジは札幌市が一九九○年、三万六千平方メートルを五区画に分けて分譲を始めた。二区画に情報技術(IT)関連の研究施設とスタジオが建設されたが、残り三区画は未利用のまま。このため札市大の教員や道内外の企業経営者らが、二年ほど前から滞在型創作拠点化の構想を検討していた。
建設不動産コンサルティングの都市デザインシステム(東京)は、未利用の分譲地約一万平方メートルにホテル建設を決め、六月に正式契約する。二-三階の低層で延べ床面積約三千五百平方メートル。三十室の客室ほか、芸術作品のギャラリーも複数設ける。この夏着工、来年夏開業の予定だ。同社は「パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)などに訪れるアーティストも多く、収益も十分見込める」と話す。
一方、イベント企画のウエス(札幌、小島紳次郎社長)と歌手の松山千春さんが社長を務めるオフィス・ゲンキ(東京)は二月中旬、九三年にファンハウス(現BMGジャパン、東京)が開設したスタジオを約一億円で購入。二階建て約千九百平方メートル。客室七室も備え、小田和正さんやビーズが録音を行ったこともある。
両社はスタジオを国内外のアーティストらに利用してもらうほか、道内の若手歌手やクリエーターらを発掘、育成する拠点とする計画。若手の制作支援や宣伝を手がける新会社を四月にも設立する予定で、小島社長は「東京に行かざるを得なかった道内の若手アーティストが、道内で制作活動できる施設と機能を提供したい」と意気込む。
札幌市は新年度、有識者会議を発展させる形で同地区の活性化や市民の利活用促進を検討する協議会を関係者らと設立。三カ年の事業計画などを策定し、世界に札幌の芸術制作環境をPRしていく考えだ。
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