2007年11月19日月曜日

心動いて日の丸背負ったダル/特別連載

<特別連載・北京金を目指す男たち>
 21歳で日本代表のエースと呼ばれる逸材が、本気になっている。日本ハム・ダルビッシュ有投手。5月の代表1次候補の発表時には、五輪予選への出場に前向きでも、後ろ向きでもなかった。公式戦終了まで、球団広報を通じて五輪関連の取材の自粛要請を出した。シーズンに集中したい、との理由で「五輪」の2文字を自分の周りから完ぺきに消した。いい意味でも、悪い意味でも「無関心」だった。
 徐々に気持ちは傾いていった。尊敬する父ファルサさんら、周囲の勧めもあり、日の丸を背負うことを決めた。何度も話し合いを重ねた末、自らが出した結論だったという。「国を代表することに特別な感情はない」。口癖のように一貫してそう話してきたが、周囲に星野監督の魅力、五輪の意義などを説明されるうちに、心を動かされた。
 マウンド上と同じく、やるなら全力投球。希薄に見えた五輪への思いは、周囲が驚くほど強くなっていた。日本シリーズ終了翌日の2日。名古屋から札幌ドームへと移動すると、いきなり動いた。シリーズと一部の日程が重なり、参加を免除されていた神戸での代表自主トレへの途中合流の希望を球団へ伝えた。チームマネジャーが代表サイドと掛け合い、不可能だと分かって泣く泣く引き下がったほど気持ちははやっていた。
 その2日後に千葉・鎌ケ谷で、単独で始動した。日本の国籍法上、22歳までに父の母国のイランとのどちらかを選ばなければいけなかったが、日本国籍を選択。あくまで五輪ではなく、サエコ夫人(21)との結婚を機に決断したものだが、来年8月の五輪本大会の出場が可能になった。「(対戦国の)データとかは気にしない。もともとイメージは持たない方。感性? そうですね」。闘争本能むき出しで、背番号18は日本代表のマウンドに立つ。

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