2008年2月6日水曜日

アイヌ語生き生き紹介 新ひだか在住の狩野さん、本出版

【新ひだか】町静内中野町の狩野義美さん(74)が、アイヌ語の辞書と随筆集を組み合わせた本「新冠・静内地方のアイヌ語・郷土史話・随筆集-わが想い出-」をこのほど出版した。「子どもたちがアイヌ文化に興味を持つきっかけになれば」と喜んでいる。
 辞書には新冠、静内地方のアイヌ語千百十七語を収録。「レラサプケ」の項目には「クマが風が運んでくる異臭をかぎ分けている様子。鼻先に全神経を集中させる様子には威厳、恐ろしさを覚える」と記し、コタンコルカムイ(フクロウ)の項目には、恐ろしいクマから農家の女性を救ったフクロウのエピソードを添えるなど、思い入れのある単語には生き生きとした解説を加えた。
 幼いころはアイヌ民族だからと陰湿ないじめを受けた。狩野さんは「アイヌ文化は不浄なものと、恨めしかった」と振り返る。しかし、四十歳ごろからアイヌ文化が懐かしくなり、きちんと向き合いたいと思うようになった。大人たちが話していたアイヌ語を思い出し、メモにとった。
 また、山中でクマと対峙(たいじ)する過酷な狩りの現場やイヨマンテ(クマ送り)、昔の生活などをテーマにした随筆十二編も収めた。
 狩野さんと親交があり、アイヌ語研究の第一人者として知られる千葉大の中川裕教授(アイヌ語学)は「狩野さんは、アイヌ語や伝統的な生活を実体験をもとに書き残せるぎりぎりの世代。アイヌ文化が培われてきた環境を知る重要な資料だ」と評価している。
 B5判、百九十三ページ。財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構(札幌)の助成で百五十部を製作。狩野さんが単語を読み上げた音声を収録したCDも添付している。非売品で、道内の図書館や博物館などに配布される。狩野さんは「昔はあんなに嫌だったアイヌ語だが、やはり捨てきれない。涙が出るほどうれしい」と話していた。

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